海外に留学する際に、初めての環境にワクワクすると同時に文化の違いに不安になること、ありますよね?
今回は海外留学を控えて現地の人との交流を楽しみにしつつも、文化やマナーの違いにどんなことがあるのか不安な方のために、事前に知っておきたいことをまとめました。
留学の準備はモノだけじゃなく、「コト」、情報の準備も必要不可欠です。
これを見て日本と海外の意外な違い、文化やマナーについて知っておくだけでも、何かあったときに現地で冷静に対処できるようになるはずです。
日本と海外の文化の違い/日常編
まず最初に、日本と海外では文化が大きく違うということを挙げておきます。
挨拶
ひとくちに挨拶と言っても、いろいろな挨拶の仕方が世界にはあります。
日本ではペコペコとお辞儀をしますが、海外では一般的に、フォーマルな場でも握手が挨拶の一般的な方法となっています。
あまり両手で相手の手を握ったりすることはないので、差し出された片手をしっかり握って握手をしましょう。
空気を読む文化?
日本では、何かを断ったり言いづらいことを注意したりする際に、遠回しに何かを言ったり、嘘とまではいかないものの建前を言ったり、言い訳をしたりします。
しかし海外では、伝えたいことははっきりと伝えるのが一般的です。
そのため、例えば食事に誘われたときに「行けたら行くね」や「ちょっと忙しいかも、また連絡するね」などと伝えていると、相手が連絡をいつまでも待って困惑することがあります。
宗教観
日本: 宗教的な色合いは薄く、多神教の影響を受けた独特の宗教観があります。
海外: 宗教が生活の中で重要な役割を果たすことが多く、特に中東や西洋では一神教の影響が大きいです。
日本は古来の神道と伝来の仏教が入り混じった文化を形成しており、子供が生まれると神社にお参りに行き、お葬式はお寺で行うという異質な宗教観があります。
イベントごとも宗教関係なく楽しみますし、観光でなくとも神社もお寺も参拝に行く方が多いですね。
海外では宗教が生活に色濃く影響を及ぼしているケースも多くあり、宗教上の理由で食事に制限があったり、必ず行う礼拝、毎週教会に通う方などいます。
今からどれか特定の宗教を選べというわけではもちろんありません。ただ、日本人は宗教についての理解が少なく、知らないうちに海外の人を傷つけたり不快な気持ちにさせるケースが稀にあります。
グローバルな環境に身を置く者の最低限の教養として、いろいろな宗教のことについて調べてみるのが良いでしょう。
日本と海外の文化の違い/食事編
日本と海外で大きな文化の違いが見られるのが、食事。材料や調味料の違いはもちろん、食べ方などにも特徴的な違いがあります。
日本の食文化とマナー
- 箸の使い方: 箸は日本特有の食器で、正しい使い方が重要です。
- お椀を持つ: 日本では、スープや味噌汁のお椀を手に持って飲むのが一般的です。これは西洋の食文化では見られない習慣です。
- 特別な食事マナー: 例えば、寿司を食べる際、ショウガは口直しに使い、ワサビは寿司に直接つけるのが本来の食べ方です。
これらの文化は海外にはない日本特有のものです。お箸についてはアジアの一部の国でも使用されていますが、欧米や欧米の影響が強い国では、そもそもお箸を使えない人がほとんど、という場合もよくあります。
麺の食事マナー
食事中に声を出して食べるのは一般的には失礼とされますが、日本ではラーメンやそばをすするのは例外で、美味しさの表現とされています。
アジアの一部の国でもこうした国はありますが、欧米ではあえて音を立てて食事をすることはなく、むしろ非常に粗末な食べ方であるとされます。
ラーメンが日本食として定着してきてからは、日本人のように音を立ててすすろうとする外国人の姿を目にするようになりましたが、海外で食事する際、特に日本食ではない食べ物を口にするときには十分気をつけましょう。
海外の食文化とマナー
海外の食事文化の違いは多様です。特徴的な事例をいくつか挙げてみました。
イタリア
- パスタのスプーン使用: スパゲッティを食べる際にスプーンを使うのは、実はイタリアでは一般的ではありません。フォークだけを使って食べるのが本来のマナーです。
- エスプレッソ文化: イタリアでは、エスプレッソを立ち飲みするのが一般的です。特に午後はカプチーノを避ける傾向があります。
アメリカ
- チップ文化: レストランでのチップは必須で、サービスの質によって15%~20%が一般的な額です。
- ファーストフード文化: ファーストフードの消費が非常に高く、ドライブスルーで食事をする文化も発展しています。
チップの文化はアメリカに限りませんが、日本にはないものです。チップの置き方や金額などは国によって違います。作法に不安がある場合は、現地の人と出かけていろいろと教えてもらうのが良いかもしれません。
インド
- 手で食べる習慣: 多くのインド料理は右手を使って食べるのが伝統的です。左手は不浄とされるため、食事には使われません。
- 多様なベジタリアン料理: 宗教的な理由からベジタリアンが多く、豊富な野菜を使った料理が発展しています。
日本と海外の生活マナーの違いに気をつけよう
先に挙げた文化の違いは、多くが「そうなんだ〜」ぐらいの気持ちで受け流せるかもしれません。
しかし、マナーの違いは知っておかないと友人との関係を悪化させる原因にもなります。
実際にどんな対策ができるかは一旦置いておき、まず違いを知ることから始めてみましょう。
日本では当たり前でも、海外にはないマナー
まず、日本特有のマナーについて改めてみましょう。「灯台下暗し」で、きっと新たな発見があるはずです。
公共の場での静粛さ
日本では公共の場で大声を出すことは控えめにされます。電車内での会話も小声で行うのが一般的です。しかし海外では、電車内で通話をしてはいけないというルールはありませんし、カフェやレストランでひそひそと話をすることもあまりありません。
よっぽど高級なレストランでドレスコードがある、などは別ですが、基本的にみんな自分の話したいように話します。日本人にとっては、ちょっと開放的に感じるかもしれませんね。
日本の丁寧な挨拶、お辞儀
お辞儀は日本特有の挨拶で、相手に敬意を示す大切なマナーです。しかし海外ではお辞儀をする文化がある国はほとんどありません。
私が外国人と会った時も、よく日本っぽい挨拶を真似て、手を合わせてお辞儀してくる外国人がいました。その度に笑っていましたが、外国人にとってお辞儀は「日本特有のもの」という認識です。
知っておきたい海外のマナー
続いて、意外と知らない海外の一般的なマナーの例を紹介します。
例に挙げているマナーはその国特有というわけではなく、多くの国で広く浸透しているものもあります。
共通のマナー
まずは全体的なところで、日本とは違って間違えやすいマナーについていくつか触れておきます。
- 靴は履いたまま入室: 基本的に欧米では、靴を履いたまま寝室に入るのが一般的です。
- 咳や鼻水に注意: 咳をするときは手ではなく腕で口を覆うことを意識しましょう。また、鼻水をすするのは好ましくありませんので、ティッシュでしっかりとかんで拭き取りましょう。この際に音が出ることに関しては何の問題もありません。
アメリカ
- パーソナルスペース: アメリカでは個人のスペースを尊重する文化があり、他人との物理的な距離を保つことがマナーです。
- チップ文化: サービス業に対するチップは必須で、15%~20%を支払うのが一般的です。これを怠ると失礼にあたります。
チップについては、国によって相場が大きく異なります。また、タクシー乗車時やポーターへのチップなど、食事の面以外でもチップを渡すのが一般的な場合がありますので、渡航前に調べておいてすぐ対応できるとスマートです。
イギリス
- 列の順守: イギリスでは列を作ること(キューイング)が重要な文化です。順番を守らないと不快感を与えます。
- アフタヌーンティー: アフタヌーンティーは一定のマナーがあり、紅茶の飲み方やスコーンの食べ方に一定のルールがあります。
アフタヌーンティーのルールについては、日本でも学ぶことができます。興味がある方はアフタヌーンティーを提供している場所に足を運んでみるのも良いでしょう。
フランス
- 挨拶の重要性: 入店時や会話を始める前には必ず「ボンジュール」(こんにちは)と挨拶するのがマナーです。
- パンは直に置く: 食事中にパンを食卓に直接置くのは一般的です。また、食事はゆっくりと楽しむ文化があります。
- 帽子はTPOを意識: レストランの中では、帽子は取るのが一般的です。髪型が気になるところですが、マナーを優先しましょう。
入店時の挨拶は、日本人にとってはあまり馴染みのないものだと思います。しかし、フランスでは洋服や雑貨のお店でも入店時に挨拶をするのがマナーです。店員から声をかけてくることもありますので、勇気を出してしっかり挨拶をしましょう。
ヨーロッパに行かれる方は、テーブルマナーなども予習しておくと良いでしょう。
フランスのワインの知識については、以前記事にも書いているので参考にしてみてください。
中東諸国
- 左手を使わない: 食事時に左手を使うことは避けられます。左手は不浄とされるため、食事では使用しません。
- 靴を脱ぐ: 家やモスクに入る際は靴を脱ぐのが一般的です。これは清潔を保つための習慣です。
タイ
- 頭を触らない: 頭は神聖な部分とされ、他人の頭を触ることは極めて失礼とされます。
- 足の裏を見せない: 足の裏を人に向けることは、非常に失礼な行為とされています。
- 仏像より高い位置に立たない: タイでは仏像より高い位置に立たないよう気をつけましょう。写真撮影の際なども同様です。
タイのルールは宗教的な慣わしが影響していることが多いです。日本人にとっては思いもよらないマナーや文化がある可能性もあるので、事前に下調べをしっかりしておくことが大切です。
留学生が気をつけたいその他の違い
最後に、特に留学生が気をつけておきたい文化やマナーの違いについて補足をしておきます。
個人主義と集団主義
- 日本: 集団の和を大切にし、個人の意見よりもグループの意見が尊重される傾向にあります。
- 海外: 特に欧米では個人主義が強く、自己表現や個人の自由が重視されます。
ときには、外国人の行動が自己中心的に見えるかもしれませんが、あくまで個人、自分自身を大切にしようという文化の違いだと知っておきましょう。外国人のルームメイトやクラスメイトと対立しやすい文化の違いですが、相手の国の文化を知った上で上手に話し合いができるといいですね。
時間に対する考え方
- 日本: 時間に厳格で、約束の時間に遅れることは失礼とされます。
- 海外: 地域によって異なりますが、ラテンアメリカや南欧などでは時間に対する概念が緩やかです。
これはよく言われていることですが、外国人は本当に時間にルーズです。列車や飛行機なども遅延が当たり前なので、日本と同じ感覚で移動スケジュールを組んでいると大変なことになります。
もちろん、少々の遅延では補償をしてもらえることもありませんので、相手を理解して時間に余裕をもって行動することが必要です。
教育スタイル
- 日本: 講義中の受動的な学習が主流で、教師が中心となって進められます。
- 海外: 学生の積極的な参加が求められることが多く、ディスカッションやプレゼンテーションが重視されます。
海外では、日本のような講義スタイルで生徒がほとんど発言しないようなレッスンはあまりありません。分からなくても分からないなりに発言するというのが一つの文化となっています。
ヨーロッパの友人に「日本人は自分の答えに自信があっても、指されないと発言しないよね」と言われたことがあります。海外の人から見ると日本人は少々不思議に見えるようです。
まとめ
今回は、海外の日本と違うマナーや文化について解説しました。
実際に細かな事例も見てみると、日本にいると想像もつかないような文化やマナーが海外にはあるということが分かります。
もちろん、現地の方々もあなたが外国人だからと思ってくれますが、現地に溶け込んで生活することも留学の醍醐味です。
逆に日本にいるときに外国人がマナーを知らないと、ちょっと悲しい気持ちになるように、あなたが渡航先のことを理解して、それに順応していくことはその国に敬意を表すことでもあります。
海外のマナーや文化については、留学生だけでなく旅行客も知っておいた方が良いこともたくさんあります。
JALUXのサイトでも紹介されているように、海外旅行をする人も十分に準備をしてくださいね。
滞在をさせてもらえる喜びを、ぜひ行動や姿勢で表現してみていただけると幸いです。