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ヨーロッパに旅行するなら絶対に知っておきたい!シェンゲン協定と行き来のルールについて

中山

プレパレ!の編集長。語学学校、留学エージェントの両方の立場から多くの生徒さんの支援をした経歴や、北米、アジア、ヨーロッパ、アフリカなどを旅した経験から、本当に必要な情報の発信に日々邁進中。

ヨーロッパ間の移動を経験した人なら一度は耳にしたことがある、「シェンゲン協定」。簡単に言えば、国境の行き来を楽にしたり、もっと言えば無くしてしまったりすることについての協定です。

しかし具体的なルールや背景、現在の加盟国などについて、実は詳しく分かっていない方、意外とたくさんいるのでは?

そこで今回はシェンゲン協定についてのおさらいと加盟国の紹介を合わせ、もう一度「シェンゲン協定」「シェンゲン領域」について考えてみようと思います。

 

シェンゲン協定とは?

まず初めに、シェンゲン協定とは何なのか改めて解説をしていきます。

シェンゲン協定とは、ヨーロッパの一部の国の中で取り決められた「国境管理についての簡略化、または撤廃」に関する協定です。

簡単に言うと、ヨーロッパ内の信頼できる国の中では出入国の審査などを減らしたり、無くしていきましょうよ、という協定です。

そしてこの協定に加盟している国を「シェンゲン協定加盟国」または「シェンゲン領域」と呼んでいます。

「シェンゲンビザ」というものを取得できれば、シェンゲン協定加盟国の中では誰もが自由に行き来ができるようになっています。イメージとしては、シェンゲン領域内では国内旅行をする感覚で国境を越えることができる、ということです。

しかも日本人は観光等の短期滞在が目的であれば、シェンゲンビザの取得が免除されています。そのため、一度シェンゲン協定加盟国に入国する際の審査を受ければ、その後帰国の際などにシェンゲン協定国から出るまでは特に手続きを行うことなく行き来が可能です。
※一度シェンゲン領域から出た場合は再度入国審査が必要です

ただ、ビザなしでビザ保持者と同じように日本人が観光するためにはいくつかルールもあります。それは後ほど詳しく説明します

 

シェンゲン協定の由来と歴史

このような日本人にとっても非常にありがたいシェンゲン協定ですが、名前の由来は調印が行われた地にあります。

1985年、ルクセンブルクのシェンゲンにおいてこの協定が結ばれたことから「シェンゲン協定」という名前がつけられました。

シェンゲン協定は1993年に誕生したEU(欧州連合)よりも長い歴史を持ち、ヨーロッパ国家間の連携に大きな役割を果たしてきています。

元々は1944年、第二次世界大戦の終戦前に「ベネルクス三国」と呼ばれていたベルギー、オランダ、ルクセンブルクの亡命政府が各国間の行き来における出入国検査を撤廃したことから始まっています。

この3国は近隣の大国とは違い国土が小さく、強大な国に対抗するために協力関係を構築していました。

ヨーロッパの共同体への意識は、現在もアメリカや中国などの超大国に対してもひるまず、影響力を持ち続けるための戦略といえます。

 

シェンゲン協定の加盟国は?

では、そのシェンゲン協定に現在加盟している国を見ていきましょう。加盟国は現在、27ヶ国となっています。

シェンゲン協定の加盟国は?

  • オーストリア
  • ベルギー
  • チェコ
  • デンマーク
  • エストニア
  • フィンランド
  • フランス
  • ドイツ
  • ギリシャ
  • クロアチア
  • ハンガリー
  • アイスランド
  • イタリア
  • ラトビア
  • リヒテンシュタイン
  • リトアニア
  • ルクセンブルク
  • マルタ
  • オランダ
  • ノルウェー
  • ポーランド
  • ポルトガル
  • スロバキア
  • スロベニア
  • スペイン
  • スイス
  • スウェーデン

このうち4ヶ国はEU加盟国ではありません。

逆にEU加盟国ではあるけれども、ブルガリア、キプロス、アイルランド、ルーマニアはシェンゲン協定の加盟国ではありません。

また、超有名国ですがイギリスもシェンゲン協定加盟国ではありません。

ほとんどEU加盟国だけど、実はちょっと違う。イギリスも違う。と頭の片隅に置いておきましょう。

 

日本人が入国する際のルール

では最も大切な点ですが、このシェンゲン協定の加盟国に日本人が渡航する際、また滞在する際のルールを見ていきましょう。

先にも書いたように、シェンゲン領域内への渡航は本来、シェンゲンビザの取得が必要です。ただし日本人は以下のルールを守っている場合はビザの取得を免除されるという仕組みになっています。

 

ルール1:渡航の目的が就労や永住ではない

まず気をつけていただきたいのが渡航目的です。ビザの免除を受けるためには渡航の目的が以下のいずれかである必要があります

許可される渡航目的

  1. 観光を目的とした旅行
  2. 親族や知人の訪問
  3. 出張、商談、会議への出席などのビジネス
  4. 現地での撮影や取材
  5. スポーツイベント等の参加や文化交流
  6. 専門的な治療や療養
  7. 短期間の研修や訓練

現地で就労や定住することを目的にしている場合は、別途国によって手続きが必要になります。入国管理官が見ているのは「不法滞在の可能性がないか?」「正式なプロセスを経ずに入国しようとしていないか?」という点です。

そのため、そういったことを入国審査の際に匂わせるだけでも入国が認められない場合がありますので注意してください。

 

ルール2:渡航は「あらゆる180日間における最長90日」である

シェンゲン領域内の入国規則には「あらゆる180日間における最長90日」の滞在を認めるという、滞在日数に関する明確なルールが2013年の改正によって定められました。

改正時の詳細については、日本の外務省のサイトでも確認ができます。

外務省「欧州諸国を訪問する方へ」

このルールについてもう少しわかりやすくしていきます。

簡単に言うと、直近の180日間(約半年)の期間の中で、シェンゲン領域内に滞在する期間が90日を超えてはいけないということです。

例を挙げていきます。

例:3ヶ月前から30日間フランスに滞在した。今週から70日間のドイツ滞在を予定しているが、可能か?

答え:不可です。2ヶ月前のフランス滞在時からカウントして180日の間にフランス・ドイツの滞在を合わせて90日間を超えてしまいます。フランス到着日から180日以内でのシェンゲン領域内の滞在期間合計が90日以内になるよう調整しましょう。

 

注意:ヨーロッパのイミグレーション等は担当官によって対応が変わる場合があります。信じられないかもしれませんが、ルール上はOKでも担当官の勘違いで入国できない…という可能性が十分ありますので、ルールギリギリの複数回滞在や複雑な滞在はしないことをお勧めします。

上記の滞在日数のカウントは、自分で行うとかなり不安になるものです。

そのため、EUが作成している「Short-stay visa calculator」というツールを使うのがお勧めです。

使い方がちょっと分かりにくいので解説しておきます。

入力が必要なのは「入力1」の今回の渡航予定日と「入力2」の過去の渡航歴の日付です。緑で囲っているところは自動で算出されるので入力の必要はありません。

入力1、入力2ともに日付の入力はdd/mm/yyで入力してください。西暦も下2桁のみ入力です。

例:2023年7月1日の場合

「01/07/23」で入力

入力2では渡航歴のうち、左側に入国日、右側に出国日を入力します。渡航歴が複数ある場合は、下に追加して行きます。

入力が終わったら右下の「Calculate」をクリックすると計算が行われます。緑の字で、入力1に入れた入国予定日から何日館滞在が可能かが算出されるはずです。

なお、90日のスタート日、180日のスタート日については、システムが計算のプロセス上表示しているようなものなのであまり考えないようにしてください。

ルール3:帰国時にパスポートの有効期限が3ヶ月以上残っている

この部分はより正確な言葉で言うと、

有効期間がシェンゲン領域国からの出国予定日から3か月以上残っており,かつ,10年以内に発効されたパスポートを所持している必要がある

となります。

要するに、

・パスポートは10年以内に発行されたもの

・日本に帰国する際に有効期限が3ヶ月以上残っているようにする

の2点を必ず守りましょう。

ちなみにパスポートの有効期限については、国によっては残り6ヶ月以上なければ渡航を認めない場合があります。

期限が1年を切ったらパスポートの更新の手続きを検討しましょう。

 

2024年以降のシェンゲン域内渡航の注意点

最後に2024年以降のシェンゲン領域内への渡航の際に気をつけるべき点をお伝えしておきます。

現在のところ、シェンゲン領域内に渡航する場合は2024年から「ETIAS」と言う事前電子渡航認証の手続きが必須となります。

ETIASは本来は2023年10月から運用が始まる予定でしたが、2024年から開始に延期となりました。

また、2024年の運用開始後も6ヶ月間ほどは登録を任意とする可能性がある旨が検討されています。そのため詳細は決まっていないというところですが、運用が始まればアメリカのESTAのように、観光客含め渡航時の事前登録が必須になります。

ETIASの申請サイトによると、通常当日に審査完了であるものの、最大4週間かかる可能性があると記載がありますので、動向には注意しておきましょう。
(旅行客が4週間前にみんな申請って制度上無理があるだろ…とヨーロッパの適当さに呆れてますが…)

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